ニュースでも頻繁に取り上げられていたのが「マイナンバー制度」です。マイナンバー通知カードの配布も一通り終わった今、もう一度このマイナンバー制度についてその概要と導入目的について振り返ってみたいと思います。
マイナンバー制度とは別名「国民総背番号制」といわれています。その名前からも分かるように、一人の国民にその人しか持っていないオリジナルの番号を付与するというものです。このマイナンバーの導入目的は一言で言うと、役所での事務手続きを簡素化することです。一人が一つしか持たないその番号を役所の手続きにおける本人確認につかったり、役所がその国民の所得や納税状況、社会福祉制度の加入状況などさまざまな状況を確認するのに使ったりしようという目的で導入されたものになります。
例えば、年金受給の手続きを一例としてあげましょう。年金を受け取る場合には支給時期が来れば自動的に国が支給してくれるようになるという訳ではありません。「年金を受け取りたいです」という意思表示を年金を受け取る人自身が行う必要があります。この年金を受け取りたいという意思表示をすることを「裁定請求」と呼んでいます。この年金の裁定請求を受け付けるのは年金事務所ですが、今までは年金の受給を希望する人が持ってきた住民票と課税証明書の内容をいちいち確認した上で、年金の支給を決定するという手間がありました。しかし、これからはマイナンバーで役所ごとに持っている国民の情報が紐づけされることになるため、マイナンバーをコンピュータに入力するだけで必要な情報をすぐに確認できるようになり、業務の簡素化につながります。
また、国民の側にもメリットがあります。先程の年金の裁定請求で再度説明します。現在はこの裁定請求を行う場合には住民票と課税証明書という書類を提出することになっています。この書類を揃えて年金事務所に行く必要があります。そのため、住民票などの書類を受け取るという手間とその書類を持参して年金事務所に行くという手間があり、まさに二度手間になっています。今回、マイナンバー制度が導入されると、年金事務所にマイナンバーを提示するだけで裁定請求を行うことが出来るようになり、年金受給手続きの手間が少なくなります。
このような役所と国民の両方の手間を減らすために導入されるのがマイナンバーです。マイナンバーの導入は平成28年1月からスタートし、まずは社会保障、税金、災害対策の分野からスタートするとされています。
・マイナンバーカードの概要
マイナンバーカード(政府広報資料では個人番号カードと表記)とは、先だって全国民に通知されたマイナンバーを証明することの出来る
プラスティック製のICカードです。表面には利用者の氏名、住所、性別、生年月日、顔写真が記載され、公的な身分証明書として利用する
ことが可能。また裏面には電子証明書とそれを利用するアプリケーションが搭載できるICチップが埋め込まれており、マイナンバーを利用
する各種行政手続きをインターネット経由で行うことが可能となります。次にマイナンバーカードの入手手段についてですが、こちらに関
してはについては自動的に交付されるものではなく、交付申請をすることにより入手できるものとなっております。具体的には、ご自身の
写真を撮影した後で、オンラインまたは郵送にてマイナンバーカードの交付申請書を送付。平成28年1月以降に自宅に届いた交付通知書と
本人確認書類を持って担当市区町村の交付窓口を訪れ、マイナンバーカードを受け取るという流れになっています。
・マイナンバーカードでできること
今後日常の様々な場面で「マイナンバー」を提示する機会が出てくると思われますが、その際にご自身の正当なナンバーだと証明するのに
利用できます。また平成28年1月より利用が開始される「マイナポータル」を代表とする各種電子行政取引において、システムにログイン
する際の本人確認キーとしても利用可能です。さらに将来的には現在紙で運用されている健康保険証を代替するものとしても期待されてい
ます。
・マイナンバーカードの活用シーン
写真付きの公的な身分証明書ですので、銀行口座開設やパスポートの新規発給などのにおいて、確実に身分を証明する手段として活用する
ことが可能です。これまでは運転免許証が主流だった公的身分証明書を、誰もが持てるマイナンバーカードで、その役割を担う事も期待さ
れています。またコンビニなどで「住民票の写し」などをはじめとする各種公的証明書を発行する際のキーにも利用できるなど、活用でき
るシーンは今後もどんどんと広がっていくでしょう。
・マイナンバーカードの今後(民間利用等の可能性)
今後はマイナンバーカード内に埋めまれているICチップを活用していく事例が増えていく物と思われます。具体的にはICチップ内に納め
られた電子証明書を用い、パスワードなどと併用して利用すれば高い確率で本人認証をすることが可能となり、オンラインバンキングを
はじめとした金融取引などにも活用されていくことが予想されます。
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